STEMアトリエ / 月の満ち欠け / 解説
月の満ち欠けとは — 月が太陽の光を映す「見る角度」のしくみ
月の満ち欠けとは、 いつも半分だけ光っている月を、地球から見る角度が日々変わるために、満ちたり欠けたりして見える現象のことです。月そのものが形を変えているわけでも、地球の影が映っているわけでもありません。
まんまるの満月、夕方の細い三日月、夜中に出てくる半月。月はどうして毎日かたちを変えるのでしょう。じつは変わっているのは月ではなく、太陽・地球・月の位置関係と、地球から月を見る角度です。上から見た図と、地球から見た月。この二つを並べて月齢のつまみを動かすと、形が変わる理由が見えてきます。気になった学年の扉から開いてみてください。
夜空の月は、どうして毎日かたちが変わるの?
ひと月のあいだ、月は見えない新月から、細い三日月、半分の上弦、まんまるの満月へと太っていき、また半分の下弦、細い月をへて新月に戻ります。形が変わるというより、見えている明るい部分が増えたり減ったりしている、と言ったほうが近い。
その明るい部分は、太陽の光が当たっているところです。月はボールのようなもので、太陽に向いた半分だけがいつも光り、反対側は暗い。月が地球のまわりを回って位置を変えると、その「光る半分」がこちらにどれだけ見えるかが変わる。だから形が変わって見えるのです。
部屋の電気でためせる
暗くした部屋で、電気スタンドを太陽に見立てて点けます。白いボールを月にして、自分の顔が地球。ボールを手に持って、ぐるりと自分のまわりを一周させてみてください。
ボールが電気スタンドと反対側(自分の後ろの上あたり)に来たとき、ボールの光って見える面はまんまる。これが満月です。逆にボールを電気スタンドの方へ持っていくと、光る面は向こうを向いてしまい、こちらからは暗い面しか見えない。これが新月。横に来たときは、ちょうど半分だけ光って見える ── 半月です。
月そのものはずっと「半分だけ光るボール」のまま。変わっているのは、自分(地球)から見る角度だけ。これがいちばん大事なところです。
形と名前は、新月からの日数で決まる
新月からの日数を月齢(げつれい)といいます。月齢が進むにつれて、形と名前は決まった順にうつり変わります。
- 月齢0 … 新月(見えない)
- 月齢およそ3.7 … 三日月
- 月齢およそ7.4 … 上弦の月(右半分が光る)
- 月齢およそ14.8 … 満月
- 月齢およそ22.1 … 下弦の月(左半分が光る)
だから昔の人は、夜空の月の形を見るだけで「今日は何日ごろか」がだいたい分かりました。三日月なら月のはじめ、満月なら半ばごろ、という具合です。
つまずきポイント — 「欠けるのは影」を裏返す
月の満ち欠けくらい毎日見ているのに、理由をたずねられると言葉に詰まりがちです。見たままの印象 ──「欠けている=何かに隠されている」── が、ほんとうのしくみとは別の方向を指しているから。下の四つは、その印象がとくに引っかかりやすいところ。シミュレーションの俯瞰図と見くらべながら確かめてください。
月が欠けるのは、地球の影が映るから?
月は自分でぼうっと光っている?
新月って、夜に空のどこかにあるんでしょ?
満ち欠けと月食・日食は、同じ仲間?
現実の応用例 — お月見・潮・暦・夕方の月
月の形は、暮らしのあちこちに顔を出します。お月見の満月、潮干狩りの大潮、カレンダーの「1か月」、夕焼け空の細い月。どれも、太陽・地球・月の位置関係という同じ一つのことから読み解けます。
お月見(十五夜)が、まんまるの夜になるわけ
大潮・小潮 ── 潮干狩りが月齢を気にする理由
カレンダーの『月』は、お月さまが起源
夕方の西に細い月、明け方の東に細い月
よくある質問
Q月の満ち欠けはなぜ起きるの?
月は自分では光らず、太陽の光を反射して光って見えています。いつも太陽に向いた半分だけが明るく、反対側は暗い。その『光る半分』を、地球から見る角度が日々変わっていくため、まんまるに見えたり、半分に見えたり、細く見えたりします。これが満ち欠けです。月そのものが形を変えているのでも、地球の影でもありません。
Q満月と新月のちがいは何ですか?
月が地球をはさんで太陽の反対側に来たときが満月です。太陽に照らされた半分をまるごと正面から見るので、まんまるに見えます。逆に、月が太陽とほぼ同じ方向に来たときが新月。光る半分がぜんぶ向こうを向くので、地球からは暗い面しか見えず、しかも昼の空にあるため見えません。満月は一晩じゅう、新月は見えない、と覚えるとすっきりします。
Q満ち欠けの周期は何日ですか?
新月から次の新月までは約29.53日で、これを朔望月(さくぼうげつ)といいます。じつは月が地球のまわりを1周する時間(恒星月=約27.32日)とは少しちがいます。月が回っている間に地球も太陽のまわりを進むため、同じ満ち欠けに戻るには約2日ぶん余計に回る必要があるからです。カレンダーの1か月が約30日なのは、この朔望月が起源です。
Q上弦の月と下弦の月は、どうちがうの?
どちらも半月ですが、満ちていく途中の半月が上弦、欠けていく途中の半月が下弦です。北半球では上弦は右側が、下弦は左側が光ります。見える時間帯もちがい、上弦は夕方に南の空高くにあって宵に沈み、下弦は真夜中すぎに東からのぼって明け方の南に見えます。形だけでなく『いつ見えるか』もセットで決まっているのが月のおもしろいところです。
Q月はなぜいつも同じ面を地球に向けているの?
月が地球のまわりを1周する間に、月自身もちょうど1回転しているからです(自転と公転の周期が同じ)。長い時間をかけて地球の引力が月の自転にブレーキをかけ、いまの『同期』に落ち着きました。このため地球からは月のいつも同じ側しか見えず、裏側は探査機が回り込むまで見ることができませんでした。なお、満ち欠けと『同じ面を向ける』ことは別の話なので、混同しないようにしましょう。
Q月の満ち欠けと月食は何がちがうの?
満ち欠けは、光る半分を見る角度が変わって毎月くりかえす、月のふだんの姿です。いっぽう月食は、太陽・地球・月がほぼ一直線にそろい、地球の影が月にかかる特別な現象で、年に数回しか起きません。一直線になる満月は毎月あるのに毎回は食にならないのは、月の通り道が少し傾いていて、影がぴたりと重なる回が限られるためです。
やってみよう
ここからは、自分で月齢のつまみを動かす番です。上の俯瞰図(太陽・地球・月)と、下の観測ビュー(地球から見た月)が、同じ月齢でぴたりと連動して動きます。光る半分がいつも太陽の方を向いたまま、位置だけ変わるのを、目で追ってみてください。
シミュレーション →
月齢のつまみを動かすと、光る半分を見る角度が変わり、新月から満月、また新月へと形がめぐります。「考えてみよう」タブで、動かす前に予測してから確かめると効きます。
万有引力 →
月を地球につなぎとめ、潮の満ち引きを起こす引力のしくみへ。大潮・小潮がなぜ起きるのか、その大もとがわかるページ。
三角関数 →
照らされ率 k=(1−cosθ)/2 に出てくる cos の正体へ。角度から数を取り出す三角関数を、単位円から見直せるページ。
参考文献・出典
- 国立天文台 暦計算室「暦Wiki」— 朔望月(約29.53日)・恒星月(約27.32日)、月の出入りと南中、月の満ち欠けの定義
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)理科編」第2分野「地球と宇宙」— 月の運動と見え方の学習内容
- 国立天文台「ほしぞら情報」— 月の満ち欠けカレンダー・潮汐(大潮・小潮)と月齢の対応
最終更新日:2026-06-26 — STEMアトリエ
