STEMアトリエ / オームの法則 / 解説
オームの法則とは — 電圧・電流・抵抗をつなぐ V=IR のしくみ
オームの法則とは、 導線や抵抗を流れる電流の大きさが、加えた電圧に比例し、抵抗に反比例するという関係(V = IR)のことです。かんたんに言うと「電圧を 2 倍にすれば、流れる電流も 2 倍」。ドイツの物理学者ゲオルク・ジーモン・オームにちなんで、こう呼ばれています。
かん電池に豆電球をつなぐと光る。電池を増やすともっと明るく、豆電球を増やすと暗くなる。この「あたりまえ」を、たった3つの量できちんと言い表したのがオームの法則です。電圧と抵抗をつまみで動かすと、電流とランプの明るさがどう変わるか、目で確かめられます。知りたい深さから読み始めて大丈夫です。豆電球の明るさだけでも、電子のぶつかり合いまででも。
電気の「強さ」を決める3つの量
水が流れる坂道を思い浮かべてください。坂の高さの差が大きいほど水は勢いよく流れ、途中に狭い場所があれば流れは細くなります。電気もよく似ています。坂の高さの差にあたるのが 電圧 V(流そうとする力)、流れる水の量にあたるのが 電流 I、流れにくくする狭い場所が 抵抗 R。この3つの関係を式にすると、V = IR になります。
電圧を上げれば電流は増え、抵抗を上げれば電流は減る。たったこれだけのことですが、家じゅうの電気製品が、この一本の式の上で動いています。
電圧を上げると、電流は増える(比例)
かん電池を1個から2個に増やすと、豆電球は明るくなりますよね。電圧が2倍になると、同じ豆電球を流れる電流も2倍になるからです。これが「電流は電圧に比例する」ということ。シミュレーションで電圧 V のつまみだけを上げてみると、電流 I の数字とランプの明るさが、いっしょに大きくなるのが見えます。
抵抗を上げると、電流は減る(反比例)
次は電圧をそのままに、抵抗 R を大きくしてみます。すると電流は減り、ランプは暗くなります。抵抗は電流の「流れにくさ」だから、大きくするほど流れは細くなる。R を2倍にすると電流は半分、R を半分にすると電流は2倍。これが「電流は抵抗に反比例する」ということです。
公式の「三角形」は、道具にすぎない
V・I・R をならべた三角形で、知りたい文字を指で隠すと答えが出る——よく習う覚え方です。便利ですが、それだけだと「なぜ?」に答えられません。ほんとうに効いてくるのは、電圧を強く押せば電流は増え、抵抗が立ちはだかれば電流は減る、という動く向きのほうです。手を動かして、どちらに動くかを体で覚えておくと、はじめて見る回路でも見当がつきます。
つまずきポイント — 電圧と電流がこんがらがる手前で
電圧・電流・抵抗は名前も記号も似ていて、どれが何だったか頭の中で入れ替わりやすい。まずは下の取りちがえを見分けておきましょう。そうすれば、つまみを動かしても数字を読みまちがえません。
三角形さえ覚えれば、意味はわからなくていい
電流は抵抗で「使われて」、その先では減っている
電力(W)と電力量(Wh)は同じもの
抵抗を大きくすると、電流も大きくなりそう
現実の応用例 — コンセントの先で起きていること
スマホの充電器、ドライヤー、信号機の LED——どれも中では V=IR と P=VI がはたらいています。電気を使う道具は、ほとんどがこの一本の式の上で設計されたものです。
電気代(電力量)の正体
ドライヤー・トースターのニクロム線
LEDを守る「保護抵抗」
ヒューズ・ブレーカーと感電
よくある質問
Qオームの法則とは何ですか?
導線や抵抗を流れる電流 I が、加えた電圧 V に比例し、抵抗 R に反比例する、という関係のことです。式で書くと V = IR(電圧=電流×抵抗)。電圧を2倍にすると電流も2倍、抵抗を2倍にすると電流は半分になります。電圧・電流・抵抗という3つの量を1本の式で結ぶ、電気の基本法則です。
QV = IR の求め方・覚え方は?
V = IR を変形すると、電流は I = V / R、抵抗は R = V / I で求められます。三角形に V を上、I と R を下に並べた「オームの三角形」で、隠した文字が答えになる覚え方が有名です。ただし三角形は計算の道具にすぎません。大事なのは『電圧を上げれば電流は増える(比例)』『抵抗を上げれば電流は減る(反比例)』という中身。シミュレーションで V と R を動かすと、電流とランプの明るさが実際にどう変わるか目で確かめられます。
Qなぜ抵抗に電流を流すと熱くなるの?
電流が抵抗の中を通るとき、電気のエネルギーが熱に変わるからです。発生する電力は P = VI で、V = IR を代入すると P = I²R とも書けます。これをジュール熱と呼びます。ドライヤーやトースター、電気ストーブは、このジュール熱をわざと出すために抵抗(ニクロム線)を使っています。逆に、配線が細すぎると思わぬ熱が出て危険なので、流せる電流に上限が決められています。
Qオームの法則が成り立たないものはありますか?
あります。オームの法則は『温度などの条件が一定なら、電流は電圧に比例する』という性質で、これを満たす素材を『オーム抵抗(線形抵抗)』と呼びます。一方、電球のフィラメントは電流が増えると高温になって抵抗が変わり、ダイオードは一方向にしか電流を流さないため、電圧と電流が比例しません。これらは『非オーム抵抗(非線形)』です。金属を一定温度で使う範囲では、オームの法則はとてもよく成り立ちます。
Q電圧と電流、どっちが原因なの?
ふつうは電圧が原因で、電流が結果です。電池やコンセントが回路の両端に電圧(電位の差)をつくり、その差に押されて電流が流れます。坂道(高さの差=電圧)があるから水(電流)が流れる、というイメージです。坂が急なほど(電圧が大きいほど)流れは速く、途中に狭い所(抵抗)があれば流れは細くなります。
Q「オーム」は人の名前ですか?
はい。ドイツの物理学者ゲオルク・ジーモン・オーム(Georg Simon Ohm、1789〜1854)の名前です。1827年の著書『ガルバーニ電池の数学的研究』で、電流が電圧に比例することを示しました。発表当初はドイツの学界から酷評されましたが、後に正しさが認められ、抵抗の単位「オーム(記号 Ω)」に名前が残りました。
やってみよう
電圧のつまみと抵抗のつまみ、まずは片方だけ動かすのがおすすめです。「電流はどっちに動く?」と予想してから触ると、グッと頭に残ります。
シミュレーション →
電圧 V を上げ、抵抗 R をひねる。電流 I と電力 P、ランプの明るさが、いっしょに動くのが見えます。
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参考文献・出典
- 砂川重信『電磁気学』(岩波書店)— 定常電流・オームの法則・電力の標準的な記述
- C. Kittel『固体物理学入門』— 自由電子モデルと伝導率(ドルーデ/ゾンマーフェルト理論)
- Encyclopædia Britannica, "Georg Ohm" — オームの生涯と1827年『Die galvanische Kette, mathematisch bearbeitet』の経緯
- MacTutor History of Mathematics, "Georg Simon Ohm" — フーリエの熱伝導研究を下敷きにした導出と当時の評価
最終更新日:2026-06-26 — STEMアトリエ
