STEMアトリエ / 三角関数 / 解説
三角関数のふしぎ — 単位円から、すべての波へ
三角関数とは、 半径 1 の単位円上にある点の x 座標(cos)と y 座標(sin)を、回転角 θ(シータ)の関数として表したものです。 グラフにすると、空間を回る点が時間とともに描き出す波(サインカーブ)になります。
ギターの弦のうなり、寄せては返す波打ちぎわ、心電図のギザギザ — 身のまわりの「くり返す動き」は、たいていサインの形をしています。その形は、たった一つの式 で決まる。下のバッジで、読みたい学年を選べます。
単位円って、なに?
半径 1 の円を「単位円」と呼びます。中心からまっすぐ右に伸ばした線(半直線)と、円の上の点 P を結んだ半径との間の角度を θ(シータ) と呼びます。
- が のとき、P はまっすぐ右(座標 )にいる。
- が ()のとき、P はまっすぐ上(座標 )にいる。
- このとき P の x 座標を 、y 座標を と呼びます。
ただこれだけ。sin と cos は、円の上の点の x, y を表しているだけなんです。
点 P が一周すると、どんな形ができる?
シミュレーションを開くと、左に単位円、右にサインカーブが見えます。点 P が円の上をぐるぐる回るとき、P の y 座標だけを見続けてみましょう。
- P がてっぺん()にいるとき、 はいちばん高い 。
- 右はじ()まで戻ると、 は 。
- ぐるっと回って下のはしに来ると、今度は 。
この 「P の y 座標」を時間に対してプロットしたものがサインカーブ です。だから右のグラフの右はじの高さは、いつも左の P の高さと同じになっています。
sin と cos って、どんな数字?
中学のうちは「0°のとき sin は 0、90°のとき sin は 1」だけ押さえれば十分です。 下の表で √(ルート)が出てくる行は、高校でまたゆっくり出てくるので、いまは飛ばして読んで OK。
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| () | ||
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「角度」と「数」を結びつけている表です。中学では「直角三角形の辺の長さの比」と習いますが、本当の姿は 単位円上の点の座標 です。
ラジアンって、何ですか?
ラジアンは「角度のもう一つのものさし」です。いまは「」とだけ覚えておけば、この先は読めます。 もう少しくわしく言うと——「90 度」「180 度」のような 度数法 に対して、ラジアンは 弧の長さ で角度を測ります。
- 円の中心から見て、半径と同じ長さの弧を切り取った角度が 1 ラジアン。
- 360 度(一周)の弧の長さは 。半径 のときは 。だから rad。
- 半周は 、4 分の 1 周は 。
数学で角度を使うときは、ほぼ常にラジアン。慣れるまでは「」と覚えておけば十分です。
つまずきポイント — 円を忘れると迷子になる
三角関数は記号が多くて、絵を見失うと一気に迷子になります。式変形に入る前に、引っかかりやすいところを単位円の絵にいったん描き戻します。
sin と cos の役割が混ざる
位相 C の符号で「右にずれるか、左にずれるか」が分からなくなる
sin(α + β) を sin α + sin β だと思ってしまう
ラジアンと度の換算でいつも詰まる
現実の応用例 — 音・光・電気の波はみんなサイン
波の形をしたものの裏には、たいていサインがいます。音のうなり、光、電気の交流 ── どれも、高さを決める A・速さを決める B・ずれの C・上下の D のどこかに化けています。それぞれどこに隠れているか、あわせて見ていきましょう。
観覧車の高さ
音波
潮の満ち引き
交流電流
心電図
よくある質問
Qsin と cos の違いは?
単位円(半径 1 の円)の上にある点 P の座標で言えば、cos θ は P の x 座標、sin θ は P の y 座標です。同じ点を「横の位置で見る」のが cos、「縦の位置で見る」のが sin。グラフは互いに π/2 だけずれた兄弟の波で、sin(x + π/2) = cos(x) という関係が成り立ちます。
Q位相とは?
波全体を x 軸方向にどれだけずらすかの量です。y = sin(B(x − C)) の C が位相シフト。C を +π/2 にすると波は右に π/2 だけずれ、ちょうど cos の形に重なります。耳で言えば「音が始まるタイミング」、目で言えば「波の出発位置」のずれ。
Qなぜラジアンを使う?
ラジアンは「弧の長さで角度を測る」単位で、円周率 π と相性が良いからです。半径 1 の円なら、角度 θ ラジアンに対する弧の長さがそのまま θ。微分公式が (sin x)' = cos x のようにきれいに揃うのもラジアンを使うとき。度数法だと係数 π/180 がまといついて式が汚れます。
やってみよう
つまみを動かすと、単位円の上の点とサインカーブが、同時に動きだします。この二つが連れだって動く瞬間が、三角関数のいちばんの見どころです。
シミュレーション →
A・B・C・D をスライダーで変えて、単位円とサインカーブが同期する様子を体感する。
振り子のページ →
振り子も実は単振動 = サインカーブ。式 T = 2π√(L/g) を体感できる姉妹トピック。
微分のページ →
サインを微分するとコサイン。(sin x)' = cos x の「傾きの正体」を、接線のアニメで目で確かめるページ。
参考文献・出典
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成 30 年告示)解説 数学編」— 三角関数の指導順序の根拠として参照
- James Stewart『Calculus』(Cengage Learning) — 三角関数・極限・微積の標準的な定義と性質
- 大石進一『フーリエ解析』(岩波書店・理工系の数学入門コース)— 関数を三角関数の重ね合わせで表すフーリエ級数・フーリエ変換
- 神保道夫『複素関数入門』(岩波書店・現代数学への入門)— オイラーの公式と複素指数の幾何学的意味
最終更新日:2026-05-21 — STEMアトリエ
