STEMアトリエ / 質量パーセント濃度 / 解説
質量パーセント濃度とは — 食塩水のこさを数で表すしくみ
質量パーセント濃度とは、 水よう液ぜんぶの重さのうち、とけているもの(溶質)の重さがしめる割合を、百分率(%)で表したものさしのことです。たとえば 100 g の食塩水に食塩が 10 g とけていれば、濃度は 10 % になります。
みそ汁が「ちょうどいい」か「からい」か。砂糖水が甘いか薄いか。その差を、舌ではなく数字で言いあてるのが質量パーセント濃度です。同じ食塩のひとさじでも、コップでとかすか鍋でとかすかで、しょっぱさはまるで変わります。その「変わり方」を、台所の感覚から式まで、好きな深さまでたどっていきましょう。
コップとバケツ — 同じ一さじでも、こさは変わる
スプーン一杯の食塩を、コップの水にとかすとしょっぱい。同じ一杯をバケツの水にとかすと、ほとんど味がしません。とかした量は同じなのに、しょっぱさが違うのはなぜか。答えは、しょっぱさを決めているのが「塩の量」そのものではなく、「水ぜんぶに対して塩がどれだけの割合か」だからです。
この割合を数で表せば、味見をしなくても、だれが計算しても同じこさが言えます。まずは割合という見方から入り、つぎに式、そして mol/L や ppm といった別のものさしへと、レベルごとに降りていきましょう。
とける側・とかす側・できあがり
食塩水を例にすると、登場するのは三つです。
- 溶質(ようしつ) … とけているもの。食塩水なら食塩。
- 溶媒(ようばい) … とかしている液。ふつうは水。
- 溶液(ようえき) … できあがった全体。食塩水そのもの。
重さでいうと、溶質 + 溶媒 = 溶液。食塩 10 g を水 90 g にとかせば、食塩水は 100 g です。とかした分の重さは、消えてなくならず、全体にちゃんと足されます。
こさは「割合」で表す
濃度は「全体のうち、とけたものがどれだけか」という割合です。食塩水 100 g のうち食塩が 10 g なら、割合は 100 分の 10、つまり 10 % です。百分率(%)は「全体を 100 としたときのいくつ分か」という言い方なので、割合とそのまま結びつきます。
ここで大事なのは、くらべるのは「水」ではなく「全体」だということ。10 g の食塩を、90 g の水ではなく、できた 100 g の食塩水とくらべる。この一点が、つぎの計算のかなめになります。
水 90 g に食塩 10 g をとかして 10 % を作る →
薄める・濃くするは「水で調整」
同じ食塩水に水を足すと、塩の量はそのままなのに、全体がふくらむぶん割合は下がります。これが「うすめる(希釈)」。逆に火にかけて水をとばせば、全体が減って割合が上がり、こさが増します。料理で味をととのえるとき、わたしたちは知らずにこの割合を上げ下げしているのです。
つまずきポイント — 分母を水にするか、全体にするか
濃度の計算でつまずくほとんどは、割り算の分母をまちがえるところから始まります。水で割るのか、全体で割るのか。ここを一度すっきりさせておけば、希釈も % も、こわいものではなくなります。
とかした量が同じなら、濃さも同じ
濃度は「とかしたもの ÷ 水」で計算する
水を足しても食塩は減らないから、濃度は変わらない
色がこい・キケンなものほど、濃度が高い
現実の応用例 — 台所から点滴まで
うすめたり、ちょうどよく整えたり。濃度のものさしは、理科室よりさきに、台所や病院で毎日のように動いています。割合で見る目を持つと、商品ラベルや調理の「○倍」がぐっと読めてきます。
めんつゆ・カルピスの「○倍にうすめる」
海の水のしょっぱさ — 約 3.4 %
病院の点滴 — 生理食塩水 0.9 %
スポーツドリンク・経口補水液
よくある質問
Q質量パーセント濃度の求め方は?
とけたもの(溶質)の重さを、できあがった水よう液ぜんぶ(溶液)の重さで割り、100 をかけます。式にすると「溶質 ÷(溶質+溶媒)× 100」。たとえば水 90 g に食塩 10 g をとかすと、食塩水は 100 g なので、10 ÷ 100 × 100 = 10 % です。分母を水だけにしないことが、いちばんのコツです。
Q「溶質」「溶媒」「溶液」のちがいは?
とけているものが溶質(食塩水なら食塩)、とかしている液が溶媒(ふつうは水)、できあがった全体が溶液(食塩水そのもの)です。たし算でいうと「溶質+溶媒=溶液」。濃度の計算でつまずく多くは、分母を溶媒(水)にしてしまうこと。分母は溶液(全体)だと押さえておけば、取りちがえずにすみます。
Q水を足すと濃度はどうなりますか?
薄くなります。水を足しても、とけている溶質の量そのものは変わりません。でも全体の重さが増えるので、その中で溶質がしめる割合が小さくなり、濃度は下がります。これが「希釈(うすめる)」です。逆に水をとばす(蒸発させる)と、溶質はそのままで全体が減るので、濃度は上がります。
Qモル濃度(mol/L)とは何がちがうのですか?
どちらも「こさ」を表しますが、ものさしが違います。質量パーセント濃度は『重さの割合(%)』で、てんびんがあれば中学生でも計算できます。モル濃度は『1 リットルの水よう液に溶質が何モル(粒のまとまり)あるか(mol/L)』で、化学反応で粒の数をそろえたいときに便利です。日常やラベル表示はパーセント、反応の計算はモル濃度、と場面で使い分けます。
Qppm(ピーピーエム)って何ですか?
とても薄いこさを表すための単位で、百万分のいくつかを示します(parts per million)。1 % は 100 分の 1、1 ppm は 100 万分の 1。水道水にふくまれる成分や、空気中の二酸化炭素のように、パーセントで書くと「0.0001 %」のように 0 が並んでしまう薄さを、すっきり表すために使います。1 % = 10000 ppm の関係です。
Q100 g の水に食塩 20 g をとかしたら、何 % ですか?
約 16.7 % です。できる食塩水は 100+20=120 g なので、20 ÷ 120 × 100 ≈ 16.7 %。ここで 20 ÷ 100 × 100 = 20 % と答えるのが、よくある間違い。割り算の分母は「水 100 g」ではなく「食塩水 120 g」。とかした分の重さも、ちゃんと全体に足してから割るのがポイントです。
やってみよう
スライダーで溶質と水を別々に動かすと、% の数字がその場で書きかわります。とくに「溶質はそのまま、水だけ増やす」を試すと、希釈で薄まる意味が指で分かります。
シミュレーション →
ビーカーに溶質と水を入れると、粒の散らばりと % の数字が同時に動きます。同じ溶質のまま水だけ足して、こさが落ちるのを目で追ってみよう。
モル(物質量)→
「mol/L」の mol って何個ぶん? 粒の数をひとまとめにするモルを知ると、モル濃度の意味まで届きます。
酸とアルカリ・pH →
水よう液のこさが効くもうひとつの例。うすい・濃いで酸の強さがどう変わるか、pH のものさしで見るページ。
参考文献・出典
- 文部科学省 学習指導要領(中学校 理科・高等学校 化学基礎/化学)— 水よう液、質量パーセント濃度、溶解度の扱い
- 化学の教科書・参考書の「溶液の濃度」「希釈」「溶解度」の章
- 物理化学の入門書 — 束一的性質(凝固点降下・沸点上昇・浸透圧)とモル濃度・質量モル濃度
- 分析化学の入門書 — 標準溶液の調製、モル濃度・規定度、ppm/ppb の表し方
最終更新日:2026-06-27 — STEMアトリエ
