身近な工学
大きい歯車と小さい歯車を組み合わせるとどんな効果がある?
歯数の比でトルク(回す力)と回転数を交換できる。大→小なら速度倍増、小→大なら力倍増。
パラメータで動かしてみる
この現象を、教科書の式とつまみで操作できる「作業台」が用意してあります。
① まずは目で見る:歯車2つのかみ合わせ
歯車を2つ並べて、片方をまわすともう一方が必ず反対向きにまわります(外側でかみ合うので)。歯がカチカチかみ合う数は両方で同じなので、
- 歯数が半分の歯車は 2 倍 まわる
- 歯数が 4 倍の歯車は 1/4 しかまわらない
これが「歯車比」の正体です。「歯車のアトリエ卓」で歯数 A・B を動かしてみると、回転数の比が肉眼で確かめられます。
② 自転車でいうとどうなる?
自転車のペダル側の歯車を 前ギア(クランク)、後輪側の歯車を 後ギア(スプロケット) と呼びます。
| 状況 | 前ギア | 後ギア | 効果 |
|---|---|---|---|
| 街乗り(平地) | 大きい(36〜50 歯) | 小さい(14〜18 歯) | ペダル 1 回で 遠くまで 進む |
| 上り坂 | 小さい(24〜34 歯) | 大きい(25〜32 歯) | 進む距離は短いが 軽く踏める |
つまりギアを変えるとは「速度型 ↔ 力型」を選ぶこと。スポーツ自転車のレバーで「ガチャン」と切り替わっているのは、まさにこの交換です。
③ 数で見る:N₁ω₁ = N₂ω₂
歯車比の式はこう書けます。
N_A × ω_A = N_B × ω_B
(歯数 × 回転数 が両方で等しい)
整理すると、
ω_B = ω_A × (N_A / N_B)
歯数の比 (A/B) が「何倍まわるか」になり、その逆数が「何倍の力になるか」(トルク比)です。
④ 力はタダで増えない — 仕事の保存
ギア比で力が 2 倍になったら、回転数は半分になる。これは「ペダルを 2 倍長く踏まないと同じ距離は進まない」という意味で、仕事(力 × 距離)はきっちり保存 されています。「ギアでタダで力が増える」ように見えても、必ず別の何かを犠牲にしているのです。
⑤ もっと知るには
- 関連レッスン:歯車とギア(/gear) — 歯数A・Bをスライダーで動かして、ギア比・回転・力を体感する。
- 関連レッスン:自転車のギア(/genshou/bicycle-gear) — 自転車に絞った日常STEM。
- 工学の単元:機械要素(高校工学・大学初年度)
もっと深く
大きい歯車を 1 回まわすと、小さい歯車は何回まわる? 歯がカチカチかみ合う数は両方で同じなので、歯数が半分なら回転は 2 倍、歯数が 4 倍なら回転は 1/4 倍 — つまり「歯数」と「回転数」はちょうど反比例。
回転比 = N_A / N_B、トルク比 = N_B / N_A。速度が増える分だけ力は減り、力が増える分だけ速度は落ちる(仕事の保存)。
ギアは「速さ ↔ 力」を交換する翻訳機。次に時計や自転車のしくみを開けるとき、この交換が必ず隠れています。
これって理科のどこ?
学びを広げる
- 小4〜中3歯車とギア工学 × 数学・小4〜中3:歯車とギアの単元レッスンへ
